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2006年4月24日 (月)

北イタリアの小さな町での展覧会

 4月1日は、北イタリアの田舎町、Maniago(マニアーゴ)というところにいました。この町で開催される、「VALCELLINA AWARD ーInternational Textile/Fiber Art Competition 5th Edition」という、テキスタイルの展覧会のオープニングに参加するためです。
この展覧会は、この町の周辺に住む地元の関係者が、35歳以下の若手作家を対象にした国際的な現代テキスタイルの公募展を開催し、過去に4回開催され、今回は5回目でした。私自身は、この公募展があるのは、昨年まで知りませんでしたが、昨年主催者の一人とベルギーで会い、この公募展がある事を知りました。

 今回は、私のギャラリーで個展を開催した作家の一人である、吉本直子さんがグランプリを受賞されたという事もあり、出かけてきました。Maniagoという町は、オーストリアとスロベニアの国境に近い、アルプスのふもとにある小さな町です。昔はテキスタイルの町として栄えたそうですが、今は刃物の生産で有名だそうです。展覧会は、若手作家を支援する町をあげてのイベントのようで、町の文化会館のようなところが会場になっていました。オープニングには、町の人たちも多く招かれて参加していました。今回は、このオープニングで見かけた光景に考えさせられるものがありました。日本の美術館や、町の文化施設で開催される美術展のオープニングは、参加者のほとんどが、作家、ジャーナリストなどの関係者に限られています。お年をめした方や、小さい子供をつれた親子などが、レセプションに参加するのは、まれなことではないでしょうか?今回のManiagoのレセプションには、お年寄りから、親子連れ、そして、町の関係者や美術評論家、大学で教鞭をとっている人たちと様々な人が参加していました。様々なタイプの作品を目の前にして、お互いに感想を述べ合ったり、私が日本のグランプリを取った作家と関係があるという事がわかると、口々に「おめでとう」と声をかけてくれたり、「この作品は、好きです」と感想を言ってくれたり、本当に、町をあげてのとても印象の良い、レセプションでした。小さな町だから出来る事なのかもしれませんが、日本では、美術の世界とそこに住んでいる町の人たちの世界が、あまりにかけ離れているのではないかと思いました。美術の関係者だけで盛り上がっている事が、特に現代美術と呼ばれる世界に見られるのではないかと、思います。これは、ギャラリーを運営している私自身への自問でもあります。どうしたら、一般の人たちと美術を通じて、何かを感じてもらい、通じる事ができる。高いといわれる敷居を取り去るにはどうしたらいいかなど、考えなければならない問題だと思っています。

 Maniagoの後に参加した、ミラノでの国際家具の見本市「ミラノサローネ」の会場でも、家具の企業関係者やジャーナリストにまじって、イタリアの家族連れや、若いカップルなど、一般の人たちも多く見かけられました。もちろん、高価な家具を買うわけでもないのですが、自分たちの生活を楽しむためのヒントを探しに来ているのです。そういうヨーロッパの人たちの姿を見て、今回の旅は人々の生活とデザイン、美術との関係を考えさせられたのでした。

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